心臓

犬の心臓病とは?原因・寿命・治療法について解説

犬の心臓病とは?

心臓病とはその名前の通り、心臓に何らかの異常が生じることによって起こる病気のことです。

この「異常」には大きく分けて心臓の構造そのものに生じるものと、働き(機能)に生じるものに分けることができます。

つまり、心臓病とは単独の病気の名称ではなく、心臓に異常が生じて健康に問題が生じた病気の総称のことなのです。

犬の心臓病の原因とは?

遺伝的要因

どんなワンちゃんにも起こりうる病気と書きましたが、小型犬に関しては先天的な部分、つまり遺伝的な原因で発症する可能性が指摘されています。生まれつき心臓に問題があるのではなく、遺伝的な影響で年齢を重ねてから異常が生じるわけです。とはいえ、飼っているワンちゃんの「家系」にこの病気を持っている子がいるかどうかを調べるのは難しいでしょうから、やはり事前にリスクを判断するのは難しいと言えます。

歯周病

人間の心臓病でも言われていることですが、歯磨きをしっかりしている人の方がそうでない人に比べて心臓病にかかるリスクが少なくなるとのデータがあるのです。犬の場合も同様と考えられており、しかも人間と比較して歯磨きをする頻度がはるかに少ない分関連性も大きくなると言われています。

歯周病が悪化しない程度にこまめな歯磨きと、歯の健康状態の維持を心がけるようにしましょう。

心臓病の症状について

心拍数

健康な犬の場合、呼吸数は大型犬で1分間に15回、小型犬で20回程度とされています。これが30回を超えると何らかの理由で脳が酸素不足になっている可能性が高くなり、40回を超えるとかなり危険な状態に陥っていると判断されます。ですから普段よりも呼吸が荒い、ハアハアと息苦しそうにしているといった症状が見られる場合には心臓病の可能性を疑い、できるだけ早く獣医に見てもらうようにしましょう。

異音

心臓の機能に異常が生じているため、心臓の音に異音が混ざるようになります。健康な心臓は人間も犬も同様で「ドキン、ドキン」という音が聞こえますが、異常が生じた場合には「シャー、ドシャー」といった異音が混ざります。音をチェックしてみてちょっと変な音が聞こえたら呼吸数や心拍数を確認し、心臓病の疑いがないかを調べる、というのが基本的なチェック方法です。

とくにわかりやすいのが散歩のときの様子です。血液が全身にうまく流れなくなるので疲れやすくなるため、途中で座り込んだり、すぐに休んでしまうようになるのです。普段よりも疲れやすくなっている、なんだか元気がない、といった場合には要注意です。

心臓病の種類

冒頭でも触れたように心臓に異常をもたらす病気にはいくつかの種類があります。

僧帽弁閉鎖不全症

健康な状態ではこの僧帽弁が機能することによって左心房から左心室へと一方通行の形で血液が流れているのですが、この血液の流れをコントロールする僧帽弁がうまく機能しなくなることで左心室から左心房への逆流が生じるようになってしまいます。心臓は血液を全身に届け、血液を通して酸素や栄養を届ける重要な役割を担っています。しかし僧帽弁の機能不全によって心臓内で血液の逆流が起こってしまうと全身に送られる血液の量が減ってしまい、全身の体の機能に大きな影響を及ぼしてしまいます。

動脈開存症

動脈管とは胎児の頃に大動脈と肺動脈をつないでいる通路のことで、本来なら生まれてからすぐに閉じるのですが、この段階でうまく閉鎖しなかった場合に動脈開存症という先天的な病気が生じます。この通路が残ってしまうことで血液が心臓・肺に流れ込む量が多くなってしまい、大きな負担となります。その結果肺水腫などの症状をもたらす恐れが出てきます。

心室中隔欠損症

右心室と左心室の間に先天的に穴(欠損孔)が開いてしまっている状態で、こちらもやはり通常よりも多くの血液が心臓に流れ込むことで大きな負担がかかってしまいます。心室中隔欠損症では、欠損孔が小さい場合、治療と必要とすることはほとんどありません。

フィラリア症

病原体の感染によって生じるフィラリア症が心臓に異常をもたらすこともあります。ただ感染症や先天的な問題によって生じる病気に比べて僧帽弁閉鎖不全症は高齢犬に多くの発症例が見られることから、やはりとくに注意が必要な病気と言えるでしょう。極端な話、若い頃どんなに健康なワンちゃんでもいずれ発症する可能性を抱えています。

心臓病のステージとは?

僧帽弁閉鎖不全症に関しては症状に応じて5つのステージが設定されています。比較的軽度で普通の暮らしを送りながら対策を行っていくことができるものから、投薬をしながら症状の悪化を防いでいく重度のものまであり、ワンちゃんがどのステージにあるのかを正確に把握したうえで適切な治療・対策を行っていくことが求められます。

ステージA

このステージに分類される目安は歯周病が原因で口臭が見られること、元気がない、散歩にでかけたときに疲れやすくなった、または歩く距離が短くなったなどの症状です。この段階では心臓の雑音はみられないため、日常生活のワンちゃんの様子で判断することになります。「ステージA」ではまだ医療機関での本格的な治療は必要なく、歯磨きをしっかり行う、栄養バランスのとれた食事を心がけるといった対策をとりつつ、次のステージB1に悪化させないことが目標となります。医療機関で診察を受けた上で食事療法に加えてサプリメントの使用が推奨されることもあります。

ステージB1

この段階で、先程症状のところで挙げた心臓の状態の変化が見られるようになります。心拍数が多くなる、呼吸が早くなる、そして心臓に雑音が聞こえるなどの症状です。血液が末端にまで届きにくくなることで体か冷えやすく、手足が冷たくなる症状が見られるようになりますが、そうなるとステージB1に分類されます。これらの症状が見られると飼い主としてはとても心配になるものですが、このステージでも医療機関での治療は基本的に行わず、食事療法とサプリメントの使用と安静を心がけたうえで次のステージB2に進行するのを防ぐのがおもな対策となります。

ステージB2

ステージB2に入ると本格的な心臓病としての治療が行われるようになります。もはや日常生活での食事療法やサプリメントでは心臓病の異常をカバーするのが難しくなるため、薬物療法をメインに症状の進行を抑えるのを目指していくことになります。このステージでは軽度の心臓の雑音のほか、痰がからんだ咳がでる、息切れを起こしやすくなる、さらに舌が青くなるといった症状が分類の目安になります。なお、レントゲン検査を行うと左心房の肥大化が見られるようになるほか、血圧にも異常が表れます。この段階で投薬が開始され、強心薬による心臓機能のサポートを目指します。

ステージC

呼吸がかなり早く激しくなった、咳が激しくなる、心臓の雑音がはっきりと聞こえるといったステージB2から進行した症状に加えて、興奮すると失神してしまう症状も見られるようになります。レントゲン検査では左心房のさらなる肥大化も確認されることもあります。ステージB2では2段階のアプローチでの投薬が行われていましたが、このステージCでは3つの段階での投薬となります。「トリプリセラピー」とも呼ばれ、強心薬、血管拡張剤に加えて利尿剤の投与も行われ、異常がもたらす心臓への負担や体への影響を軽減させる対策が行われていきます。この段階になると血流の低下が腎臓に負担をかけてしまうので、食事療法においては塩分の制限・コントロールが重要になってきます。

ステージD

これまで挙げてきた症状がかなりはっきりと、重度な形で見られるほか、咳が激しく出たときに失神してしまうこともあります。この段階に達すると腎臓の異常に加えて肺水腫の症状を抱えることが多いため、投薬治療ではステージCのトリプルセラピーに加えて肺水腫の症状を和らげる利尿降圧剤や抗アルドステロン性利尿剤といった薬が投与されることもあります。この投薬治療が非常に難しく、肺水腫の症状を和らげるために利尿降圧剤を使うと腎不全の症状を進行させてしまうため、腎臓への負担を避けながら適切な用量での投与が求められます。このあたりは獣医とよく相談したうえで慎重に治療を行っていく必要があります。

心臓病になってしまったらどのくらい生きるの?

心臓病を発症してしまったワンちゃんはどれぐらい生きられるのか?飼い主にとってはこれが一番心配で苦しい部分でしょう。

できるだけ長生きして欲しいと思うのは飼い主として当然の願いですが、一方で心臓の疾患だけにあまり苦しんでほしくないという思いも出てきます。

ステージによっても変わってくるので一概にはいえない面もありますが、平均では投薬治療を開始してからで8ヶ月程度、発症から半年以上生きられるのは「50パーセント程度」と言われています。

ステージAの段階で適切な治療・対策を施すことで症状の進行を遅らせることができればもっとも長生きすることも可能ですが、いずれにしろ厳しい数字なのは間違いないでしょう。

心臓病の手術内容と費用とリスクについて

手術ではまず全身に麻酔を施し、人工心肺装置によって体外で血液を循環させる環境を整えたうえで開胸を行います。そのうえで僧帽弁の修復・形成を行いつつ、拡張した左心房を縫い縮めるといった作業を行っていきます。それが済んだら体外循環の環境をやめ、傷口の縫合が行われます。術後は1週間程度の入院が必要です。

成功率は約90パーセント近くともいわれ、かなり安全性の高い手術と言えます。ただし非常に難易度の高い手術なので手術中の出血による死亡、血圧の低下による深刻な状況といったリスクが伴いますし、術後に免疫力の低下による感染症、腎機能障害、血栓症といった合併症が生じることもあります。

どれぐらいのリスクがあるのか、安全かどうかを獣医と相談したうえで最終的に飼い主の責任で判断することになります。「手術をすれば助かる」といった見通しでの判断は避け、「あえて治療しない」という選択肢も含めた現実を見据えた判断が求められます。

費用に関しても入院費用なども含め数十万円~100万円以上の出費が必要になることもあります。

まとめ

心臓病の多くは僧帽弁閉鎖不全症によるもので、根本的な治療が難しいという厳しい現実があります。手術をするかどうかの選択も含め、飼い主はワンちゃんの病気とどう向き合っていくかが問われます。ワンちゃんの健康と長生きのために日頃から健康状態に気をつけて、ベストを尽くすのはもちろんですが、飼い主とワンちゃんがよい関係を築いたまま最期の時を悔いなく迎えられるような環境づくりも重要になってくるでしょう。そのためにも病気への正しい理解と早期の対策が求められます。

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