わんちゃんのサインを見逃さないように!犬の中耳炎の症状や予防について解説

わんちゃんの中耳炎のほとんどが、外耳炎が発展し炎症が広がることにより起きます。
さらに症状が進行すると内耳という、聴覚や平衡感覚を司る神経がある部分にまで炎症が広がり危険です。
今回は、そんな外耳炎の症状や治療法について解説します。
1.中耳炎とは?
中耳炎とは鼓膜とその奥にある鼓室という空間の間にある中耳に炎症が起こってしまった状態のことです。
人間でも起こる病気ですが、犬にも見られるので注意が必要です。
この中耳炎はいきなり発症するわけではなく、外耳炎が悪化することでで発症します。
理由はほとんどのケースでは細菌、真菌などの微生物の感染によるもので、最初は外耳炎に発症した感染が進行し、鼓膜に穴を開けたうえで内耳にまで波及することによって生じます。
ですから外耳炎が発症した段階でしっかり治療を行うことが非常に重要になってくるわけです。
ただし頻度は少ないですが、微生物の感染以外にも異物が耳に侵入することで鼓膜に穴があいてしまう、腫瘍の影響で発症してしまうというケースも見られます。
いずれにしろ中耳炎にまで発展したらできるだけ早い段階で適切な治療を行うことが大事です。
そうしないとさらに感染が波及して内耳炎が発症する可能性があるからです。
2.中耳炎の症状
耳の奥で炎症が発症することでまず痛みを感じるようになります。
犬はこの痛みをさまざまな形で表現するわけですが、とくに典型的な例として見られるのが斜頸です。
しきりに頭を傾けるような素振りを見せるようになったら要注意、耳に炎症が生じている可能性があります。
また耳には体のバランス感覚を維持する器官があり、炎症の影響でその機能が損なわれてしまうケースも出てきます。
うまくバランスを維持することができずにまっすぐ歩けない、グルグルと回転するように歩く旋回運動が見られるのです。
ここまで来たらかなり症状が進行している恐れがあるので早急な治療が求められます。
このバランス感覚への影響はとても怖いもので、さらに悪化してしまうとまっすぐ立つことさえできない、歩こうとしても倒れてしまう状態になるほか、平衡感覚が失われることで気持ち悪さに襲われるようになって食欲不振や、食べても嘔吐してしまうといった症状も見られるようになります。
できればこうした症状が見られる前に気づいて適切な処置・治療を行いたいところです。
初期症状、または中耳炎に気づくサインとしては耳垢が増える、耳を床にこすりつけるような素振りを見せるなどが挙げられます。
斜頸や旋回運動とまではいかないまでも頭を振る動作を見せる、耳をかゆがるような素振りを見せる場合も要注意です。
初期段階ではこのようなわずかなサインしか見せないことも多く、日頃からわんちゃんの状態をこまめにチェックして細かな異変に気づけるかどうかが重要です。
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3.中耳炎の原因
原因に関しては先述したように細菌・真菌の感染がもっとも多いのですが、アトピーやアレルギーなども原因として指摘されることもあります。
室内で飼育する場合には人間だけでなく、わんちゃんのアトピー・アレルギーに対しても配慮が必要になるでしょう。
なお、異物の侵入に関しては植物の種が入り込んでしまうケースがよく報告されているので気をつけましょう。
4.中耳炎の予防
細菌感染、それもまず外耳炎が発症した状態から悪化することでなるわけですから、中耳炎の予防の原則は耳全体を清潔に保って細菌・真菌による感染を防ぐことです。
清潔な飼育環境はペットを飼ううえでの大前提ですが、本当にわんちゃんが健康的な生活を送れる環境かどうか見直してみましょう。
注意したいのは現代のペット事情では過剰な清潔意識がかえってペットの健康を害してしまっているケースも見られる点です。
わんちゃんの中耳炎の場合、一生懸命耳掃除をして耳の内部を傷つけてしまう、またはシャンプーを使ってしっかり洗ったのはいいもののシャンプーの液が耳に流れ込んでしまうといった理由で外耳炎の原因になってしまうこともあるのです。
あとは先述した異物が侵入しないよう気をつけましょう。
5.中耳炎の治療法
原因となっている細菌・真菌を退治するための抗生物質や抗真菌薬、抗炎症薬の処方が一般的な治療方法です。
よほど悪化していない限りはこうした内科的な治療で改善していくことができます。
ただし、炎症が奥にまで波及してしまっている場合にはこうした薬が届かずに十分な効果が得られないこともあります。
その際には外科的な手術が必要になることもあります。
この場合、鼓室を切開し、洗浄を行った上で細菌・真菌を除去する治療が行われます。
もうひとつ、腫瘍が原因で発症したケースでは外科的な治療も含めた腫瘍そのものの治療も行われます。
ですからわんちゃんの中耳炎の症状がどれだけ進行しているか、どのような状況にあるかで治療方法が最終的に決定されることになります。
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